ちょっと待った!その代理人は本当に大丈夫ですか?無資格者、倫理違反行為を見極める7つのポイント

こんにちは。カナダ移民コンサルタントのたんばです。

私たちが所属するカナダ移民コンサルタント協会 (ICCRC) では、所属会員の非倫理的な行為や、プロとして不適格な業務行為から一般の人々を守るために、明確な倫理規定が定められています。これはCode of Professional Ethics と呼ばれ、協会の数ある規定集の中でも一、二を争う重要な規定とされています。

今回の記事は、読者の方が無認可、および職業倫理に反する代理人による、思わぬ被害に遭わないため、こういった人物や行為を見極める方法を、協会規定をもとに、移民コンサルタント自身の視点からご紹介したいと思います。

1.    ICCRC、各州、準州弁護士会の登録名簿で名前が見つからない

 

まず最初のステップは基本中の基本です。移民コンサルタントが有資格者かどうかを調べるには、こちらのリンクより名前、住所、会員番号等で検索をすることです。

また、StatusがSuspensionやRevocationでなくActive にであることも必ず確認してください。

弁護士の場合は、各州の Law Society(弁護士会)のオフィシャルウェブサイト(下記は例として人口の多い3州のみ挙げています)から Lawyer Directory を探して同様に名前を検索してください。ケベック公証人の場合も同様です。

The Law Society of British Colombia

The Law Society of Upper Canada – 現在オンタリオ州に当たる地域の古い名称より

Barreau du Québec

Chambre des notaires du Québec

また、ICCRCが同じく統括するRegulated International Student Immigration Advisor (RISIA) という資格者は大学やカレッジに雇用されていることが条件で、学生ビザなど限られた範囲で移民法に関するアドバイスが許可されています。上記ICCRCのリンクからその名簿にアクセスできます。

上記方法で該当人物の名前が見つからない場合は無認可(違法)で業務を行っている可能性が高いと考えられます。無認可の個人や企業が行うサービスによりビザ申請を行った場合、カナダ移民局は申請を拒否することを明記しています。

 

2.    書面契約なしでのサービス提供

 

ここからは移民コンサルタントの規定のみに基づいて進めていきたいと思います。弁護士の規定は専門外のため触れませんが同様の規定はどの州弁護士会でも存在すると考えてよいでしょう。

規定された書面契約を怠ることは、有資格コンサルタントが懲戒処分を受ける理由として多い違反行為です。

有料コンサルテーションの場合、アドバイスが与えられる前に、代理人と依頼人の間でInitial Consultation Agreementと呼ばれる書面契約を結ばなければならないと規定されています。初回コンサルテーションが無料の場合はこの同意書は任意となります。

ただ、移民コンサルタント業もビジネスですので、初回コンサルテーションが無料・有料であるに関わらず、その後のある時点においては通常、料金が発生するサービスが提供されます。

その多くは永住権やビザの代行申請 ( = Representation) となりますが、移民法やその関連法規に基づいてサービスを提供する場合Retainer Agreement、またはEngagement Letterと呼ばれる、諸々の詳細が記載された書面の契約を交わすことが義務付けられています。規定では遅くとも依頼人のための業務を開始して10日以内の契約締結が必須です。

Pro bono と呼ばれる、サービスを無料奉仕する場合であっても、私たちはRetainer Agreementを締結することが義務付けられています。もし書面契約なしにサービス提供、料金請求を行う移民コンサルタントがいた場合、赤信号とお考えください。

3.    クライアントに求められた法律に抵触する行為を認識しながらも続行する

 

移民コンサルタントに相談に来られるクライアントの中には、人に言いづらい事情を抱えている方もいらっしゃいます。滞在許可期限を越えてもカナダに滞在し続けた(オーバーステイ)、就労許可なしに働いてしまった、過去に軽犯罪歴がある等々、人によって様々です。

こういった事実を正直に話していただくことは非常に重要で、そうして頂くことにより、一般的にはその時点で可能な救済手段を提案できる可能性が高いと言えます。

しかし上記のような事実を隠したり、虚偽の申告をするなどして、永住権やビザの申請をして欲しいという依頼は、協会の倫理規定により私たちは承ることができません。私たちの義務はそういった行為が違法、不正行為であり止めるべき旨をお伝えすることです。それでもクライアントがその行為を続行されるという意思表示をされた場合、私たちは代理人契約を撤回することが義務付けられています。

クライアントとしてこのような依頼をされないことも重要ですが、もしこれに了承して虚偽申告、事実隠蔽、その他の違法行為に加担する代理人がいたとすれば、その代理人のサービスを利用するあなたの申請は高いリスクを伴うとお考え下さい。

 

4.    ビザ取得の成功を保証する

 

カナダの移民法に基づく永住権、ビザの申請に最終決定をくだすのはあくまでもカナダ政府移民局 (IRCC)です。申請書類にミスがなかったとしても、様々な理由でプロセスが予期せぬ結果を招くことも、可能性としては無いとは言い切れません。

移民コンサルタントの職務は、その専門知識を活かして、ビザ取得の可能性をできるだけ高めることであり、そういった知識やそれに関わる能力を有する自身を積極的に売り込むことと、無責任に成功をギャランティすることには大きな差があります。

「私のサービスを利用すれば確実に永住権が取れる」といった、クライアントにとって好ましい申請結果の約束をすることは、移民コンサルタント協会の規定で禁止されています。

補足ですが「確実に永住権が取れた場合のみ報酬を支払う」といった、成功報酬型の料金請求方法はContingency billing と呼ばれ、クライアントにとっては都合がいいかもしれませんが、これは協会規定で禁止されています。

 

5. クライアントの無知につけこむ

 

上記に挙げたポイントのいずれも、クライアントが移民法や、移民コンサルタント協会の規定を知らないことに、多少なりともつけこんでいるとも解釈できますが、ここでは契約内容、代理申請の内容に焦点を置いた注意点を見ていきます。

もしあなたが、クライアントとして移民コンサルタントと契約したものの、契約書の内容をあまり把握していないとすれば、それ自体が危険信号であるとお考え下さい。以下に注意点を挙げます。

  • カナダで法的に効力のある契約書は英語かフランス語で書かれたもののみです。申請者本人が言語に自信がない場合も、中立の第三者の助けを借りるなどして契約書の全条項を必ず理解してください。
  • どのビザ、移民カテゴリにおいての代理申請であるか把握していますか?(→明確にされていなければなりません)
  • 代理人と契約する時点でそのビザ、移民カテゴリの申請資格を満たしていますか?(→語学テストのスコアなど、申請資格を満たすかどうかは申請者次第です。その資格を満たす前に代理人と契約を結ぶ場合、その後いつまでも資格を満たさない場合、手付金はどう扱われるか合意がありますか?)
  • 移民コンサルタントのサービスに対して不服がある場合の解決方法、取るべきステップについて理解していますか?

これらはクライアントが理解しておくべき主な契約内容ですが、契約書がカバーする条項は多岐にわたります。

 

6. 政府機関や職員とのコネクションを示唆する

 

実際にそういったコネクションがある移民コンサルタントもいるでしょうし、元移民局の審査官だったというコンサルタントもいます。そこからから正当に得た知識や経験を活かして、代理人としてクライアントに好ましい決定が下されるよう、移民局に主張する能力を売り込むことは問題ありません。

しかし、その代理人を雇うことによって移民局側で「その後の審査が早く進む」「有利な決定がくだされる」などと述べる行為は、協会の倫理規定により禁じられています。

 

7. 個人情報を扱う意識の欠如

 

移民コンサルタントがクライアントとのやり取りで入手した全ての情報は、いくつかの例外の状況を除き、極秘に扱われなければなりません。

例外となる状況は1)クライアントが情報の開示に同意した場合 2)カナダの裁判所から要求があった場合 3)カナダの法規、規則によって情報開示が必要とされる場合です。

個人情報の取扱いに関する倫理意識の欠如は、例えば下記のような形で表面化します。

  • 移民コンサルタントが過去のクライアントの申請書類、その他個人情報を含む関連書類を、事例として別のクライアントに見せる行為
  • クライアントが移民コンサルタントのオフィスを訪れた時、デスクの上など人目に付く場所に別のクライアントのものらしき書類が置かれている。
  • 無関係の複数のクライアントに許可なくCCで一斉メール、メーリングリストなどでメールを送る。
  • あるクライアントに相談を受けたり、契約を交わして仕事を請け負ったりした事を、そのクライアントの許可なく別のクライアントなど第三者に口外する行為。

以上が代表的な例ですが、マイナーなものも加えると他にもあると思います。1は無資格者を見極めるための基本としましたが、もし無資格者が実在する弁護士や移民コンサルタントになりすましていたらどうでしょう。その場合、実際の人物をホームページに公開されている顔写真と照らし合わせる、所属協会のIDカードを求めるなどの方法をとることもできます。

移民コンサルタントのサービスを利用する方々が、その倫理的な側面についてより多くの知識を得ることにより、職業としての透明性が高くなり、ひいては利用者にとってさらにアクセスしやすい存在となれば嬉しく思います。