カナダ総選挙2019年、自由党が再選、その移民政策は?

2019年10月21日月曜日、カナダでは四年に一度の総選挙とその開票が行われ、ジャスティン・トルドー首相が党首を務める自由党 = The Liberal Party of Canada が157議席を獲得し、再選が決まりました。いわゆる「リベラル」な移民政策で、カナダ政府は過去4年、新移民、難民の受け入れに積極的でありましたが、この先の4年間の、具体的にどのような移民政策に関する公約を掲げているのでしょう。

経済移民受け入れのさらなる強化

2018年には新移民の数が戦後最大の年間321,045人にまで増えました。今後、2021年までに年間350,000人の移民受け入れを目標としています。

労働者不足の地方自治体支援のための移民政策

Municipal Nominee Program

移民の受け入れ拡大と言っても、移民が主に移住、働く地域はカナダ全土とは言えません。地理的・経済的に不利な地域はやはり移民にも不人気です。

そこで、地方自治体が新移民を指名する新移民プログラム Municipal Nominee Program。を発足させる計画が考案されています。このプログラムは、地方のコミュニティ、商工会議所、労働協議会が直接移民希望者のスポンサーになれるプログラムです。

Atlantic Immigration Pilot Program (AIPP) をレギュラープログラム化

試験的プログラムであった、アトランティック地域(New Brunswick, Nova Scotia, Prince Edward Island, Newfoundland and Labrador)への移住希望者が対象のプログラムが、パーマネントプログラムに変更される予定となっており、この地域への定住を促進します。

Municipal Nominee ProgramとAtlantic Immigration Programのそれぞれに最低でも5000件の申請枠が割り当てることが公約されています。

カナダ市民権の申請費無料化

永住者(Permanent resident)がカナダ国籍を取得した場合、カナダ社会での活動に制限なく参加できるようになりますが、その国籍を取得するために費用がかかるのは、あってはならないこととして、永住者がカナダ国籍をより取得しやすくするために、資格を満たす者に対しては申請料をなくすことが約束されています。

難民の避難国のより好み(asylum-shopping)を規制

難民として認定される人々は、母国(または常時居住する国)で迫害から逃れて、他国に来る人であるため、避難先の国が安全であり、法的保護が与えられる以上、それに該当する到着した最初の国で、難民申請をしなければならないことが、国連規定により取り決められています。

このため、カナダと唯一陸で繋がる国、米国との間には、Safe Third Country Agreement という合意があります。例外的な状況の申請者を除き、逃れた国から米国経由でカナダに渡り、難民申請を行うことは認められていませんが、近年は陸路での米国ーカナダ間の違法な国境通過が後を立たない状況となっています。そのためこの合意の見直しを行うことが新政府によって掲げられています。

移民コンサルタントの規制を強化

カナダ移民コンサルタント協会(ICCRC)は、現在の、カナダ移民・難民・保護法の裏付けにより、移民大臣の任命を受けて移民コンサルタントを統制する形から、今年6月に通過した新しい連邦法 the College of Immigration and Citizenship Consultants Act. のもとに、今後ライセンスを与えられることになります。

これは主に、ライセンスを持たずにカナダ国内外で営業を行う違法代理人=ghost consultant を、新しい College が直接調査し、証拠を入手し、不当な料金徴収の返還を求る権限与えられるように立法されました。

移民コンサルタントはこの先、移行期を経て、統制機関(およびその名称)、それに伴う規定などが改められることがすでに決定しています。