Atlantic Immigration Pilot Program(続き)

注意点1 雇用主主体のプログラムである!

 

つまり、カナダへの永住を希望する本人がイニシアチブを取って、移民申請することを目的として作られたプログラムではありません。3種類あるどのプログラムでも雇用主が必須ですし、その雇用主もあらかじめ認定を受けた雇用主でなければなりません。さらにこの雇用主のリストは公開されていません。

永住希望者の立場からすると、「なんて不便なプログラム」と思われるかもしれませんが、雇用主側からすると自分たちが雇うと決めた外国人労働者にだけ、その雇用主が「認定」されていることが分かればいいわけです。人手不足に本当に悩まされている雇用主にとっては、永住権取得だけを目的に応募する不誠実な申請者も避けられますし、このプログラムを利用する価値はありそうです。

 

注意点2 パイロットプログラムである!

 

このプログラムで使われているPilot とは飛行機の操縦をするパイロットの意味ではなく、「試験的な」という意味を現します。このパイロットプログラムは3年間の試験期間の後、そのパフォーマンスが評価され、残留か廃止が決定されます。

カナダへの永住希望者がこのプログラムを視野に入れて2年間、アトランティック・カナダにあるカレッジに通い、post-graduation work permit (PGWP)で1年の就労経験を積んだ頃、プログラムが廃止になっている可能性は大いにあります。

 

注意点3 偽りでないアトランティック地域への永住の意思が必要である!

 

各州のPNP申請者にも該当することですが、意図的に比較的移民しやすい田舎の州で永住資格を満たすまで生活し、永住権を申請・取得した後、都市部に移り住むといった、カナダの寛大な移民システムを乱用するケースは後を絶たない状況です。

これはカナダ政府移民局 (IRCC) も各州政府も把握していることですので、申請者のカナダの他の州での長期滞在履歴や、他州でのプライベートやプロフェッショナルな関係、定着により、その州との繋がりが強いと判断された場合、申請が却下される可能性が高くなります。このパイロットプログラムは純粋にアトランティック・カナダに永住を希望する方を対象にしたものであるとお考え下さい。

 

最後に

あくまで雇用主主体のプログラムと述べましたが、この地域のカレッジ、大学を卒業後、PGWPを取得してスキルドワークの職歴を積めば、連邦プログラム(Federal Skilled Worker Class, Canadian Experience Class, etc)の申請資格を満たすことも可能です。このような方にとっては、アトランティック・パイロットを「第二の手段」として視野に入れておくことに害はないかと思います。

一時滞在者として実際にこの地域に滞在してみれば、現地の労働市場も把握できるでしょうし、認定雇用主についても情報が得やすいのではないでしょうか。但し、雇用主は認定の事実をインセンティブとした求人広告は載せられません。