こんにちは。カナダ移民コンサルタントのたんばです。私はここ、ケベック州モントリオールで開業したわけですが、今までこのサイト内で特にケベック州やモントリオールの話題にも触れていませんでした。というのも、ちょっとした事情があるからなのですが、今回はその件について書きたいと思います。
ケベック州ではダブルライセンス
RCIC = Regulated Canadian Immigration Consultantという移民コンサルタントの肩書きは、カナダ移民コンサルタント協会(ICCRC)が管理・統制するライセンスで、もちろんケベック州を含めカナダ全国で有効ではありますが、ケベック州では移民コンサルタントのライセンス事情が少し異なります。
ケベック州内で移民コンサルタントとして、ケベック州政府とやり取りをするためには、ケベック州政府移民局 (MIDI = Ministère de l’Immigration, de la Diversite, et de l’Inclusion) からのライセンスを得たうえでなければなりません。ケベック州政府とやり取りをするとは、具体的にどのような状況かというと、ケベック州の永住権プログラムに申請する場合、ケベック州で働くため就労許可を申請する場合（ワーキングホリデーは除く）、ケベック州で就学するため就学許可（学生ビザ）を申請する場合などが該当します。
取得するためには
ちにみにこのMIDI（ケベック）ライセンスは取得資格としてRCICであることが前提となっています。つまりMIDIライセンスを取得するためにはRCICライセンスとのダブルライセンスが必須となります。その他、当然ながらフランス語のテストスコアの提出、ケベック州の移民法についての試験合格、ライセンス料の支払いが求められます。
以前の記事「カナダの移民コンサルタントってどんな資格？」の記事では、現時点で4300人ほどのRCICが在籍していると書きましたが、そのうちMIDIライセンス保持者は約300人（約7%)ほどにとどまります。
ケベック州に拠点を置きながら、RCICとしてのみ活動している移民コンサルタントもいますが、彼らは連邦プログラムやダブルライセンスを必要としない州指名プログラムのみを扱っています。または、そういった活動に制限のない弁護士や、すでにMIDIライセンスを持つ別のRCICとパートナーとなって、連名でクライアントの代理人として活動する人もいます。
移民分野におけるケベック州の力
このような、私たち移民コンサルタントにとってはあまり便利とはいえない形の行政に至ったのは、歴史的、政治的な出来事が背景にありますが、このトピックはなかなか複雑で短文では語れません。
しかし、カナダでの移民の事柄について、連邦政府の次に権力を持つのはおそらくケベック政府でしょう。ケベック政府はケベック州に移住しようとする移民を独自の基準で “select” する力を持っています。ケベック州を除く多くの州が参加している州指名プログラム(PNP=Provincial Nominee Program)では各州政府は候補者を”nominate”(指名)するシステムにはなっていますが、これは”select”ほどの決定力を持ちません。
ケベック州内で活動する移民コンサルタントについても、ケベック州政府は “独自の基準で”、自らが選定、決定権を持つということでしょう。
ICCRCで一括管理ができれば…
このような連邦資格と州資格の両方を必要とする職種は他に例が少ないでしょう。
ICCRCはカナダ全国区の機関ですから、フランス語にも当然対応しています。資格取得要件である語学スキルの証明もフランス語試験の結果でも受け付けられますし、ライセンス試験自体もフランス語で受験できます。ICCRCの全ての書類は英仏両方のバージョンが存在しますし、Eメールなどのコミュニケーションも英仏バイリンガル対応です。
それならMIDIが求める移民コンサルタントのフランス語能力の要件もICCRCで査定ができるはずですし、ケベック州の移民法の知識に関する試験でも、MIDIからのパネリストグループなどをICCRCに派遣して作成し、ライセンスはICCRCが一括して管理すれば、どの当事者からも効率の良い方法ではないかと思いますが…色々と複雑な事情もあるのでしょう。
モントリオールのお客様へ
私はRCICライセンスを取得して今月開業したばかりで、MIDIライセンスはまだ取得できていません。今年中の取得を目標としています。自分が拠点としているにも関わらず、モントリオールのお客様にはまだフルサービスが提供できないことが、今はとても残念です。もうしばらくの期間お待ち下さい！
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