
カナダの永住者、またワーホリや学生ビザを使って長期滞在をする人にとってはおなじみのSIN (Social Insurance Number = 社会保険番号)ですが、注意して扱わなければならない個人情報であり、むやみに他人に開示すべき情報ではありません。
SINの提示を求められる状況と、求められるべきでない状況を理解し、SINの不正利用を未然に防ぎましょう。
SINを不正に利用されて被る可能性のある被害
SINが悪用された場合、いわゆるなりすまし犯罪 (identity theft) の被害に遭う可能性があります。
- 公的機関による各種手当が他人に不当に受給される
- 所得税の還付金を他人に不当に受給される
- 金融機関での信用度 (credit) が他人に不当に利用される
- 他人の不法就労に知らないうちに加担してしまう
- 受け取っていない収入に対して追徴課税される
- 信用度等級が落ち、ローンが組めなくなる
SINの提示を求めても良いのは…
雇用主と金融機関を除いて、全て公的機関によるサービス、手続きが関連しています。
- 雇用主
- 所得税の情報として (税務署、税理士等)
- 利子を受け取っている金融機関
- Canada Pension Plan (CPP)またはRégine de rentes du Québec (RRQ)ベネフィット
- 雇用保険 (Employment Insurance – EI) の手当申請
- Canada Education Savings Grants (CESGs)、Registered Education Savings Plans (RESPs)
- チャイルド・タックス・ベネフィット
- 連邦政府による学生ローン
- 消費税 (GST/HST)の還付請求
- 生活保護 (social assistance)手当
- 退役軍人の手当とプログラム
- 労働者災害補償の手当
- チャイルドサポート
SINを提示するべきでない、する必要がない状況
以下の状況ではSINを提示する必要はありません。政府はこれらの目的でSINを要求しないよう喚起していますが、提示を求めること自体は違法にならないため、SINの適切な使用用途を知らずに提示を求める民間機関も多いようです。
- 本人確認のため
- 採用が決まる前の求人応募の段階で
- アパートの賃貸契約申し込み
- 家主とのリースの交渉
- クレジットカード申し込み
- 銀行取引(モーゲージ、line of credit、ローン)
- 医療機関の問診票
- レンタカーを借りる
- 携帯電話の契約
- 遺言書の作成
- カレッジや大学への志願
これらの状況でSINの提示を求められた場合は、具体的に何の目的で使用されるのか、誰と共有されるのかを確認し、提示を希望しない旨を説明しましょう。本人確認には他に使える書類があることを伝えてください。
SINを要求されたものの提示に納得できない、個人情報に関して管轄の機関へ正式に苦情を入れたい、SINの不正利用によるなりすまし犯罪の被害に遭った可能性がある場合は、こちらより手続きの詳細を参照してください。
SINは機密性の高い個人情報です。むやみに第三者に開示せず、安全な環境で保管し、犯罪被害から身を守りましょう。
本記事はカナダ政府機関 Employment and Social Development Canada (ESDC) のWebページ Protecting your Social Insurance Number (英語原文)の一部を日本語に翻訳し、加筆したものとなっています。